（とうじゅんじほんどう）

【建築】

大沼町（下山地区）。応仁2（1468）年了遊（比叡山から来た僧侶）が本願寺8世蓮如の弟子となり、染筆の名号2幅を賜り、文明9（1477）年本願寺9世実如より御文1通を下され、天台宗より浄土真宗に改宗する。現本堂は古記録によると宝永4（1707）年の建立とされる。本堂は桁行実長9間、梁間実長9間、寄棟造、瓦形鉄板葺（もとは茅葺）、向拝1間（実長3間）付の大型の真宗本堂である。間取りは、堂前半の間口7間、奥行3間を外陣、その奥1間を矢来内とし、外陣の正側三方には1間幅の広縁と半間程の擬宝珠高欄付の落縁を付け、正面中央に向拝と木階3級が設けられる。堂後半では中央に間口3間、奥行3間半の内陣、その両脇に間口2間、奥行2間半の余間を配する。現在、余間の両外には間口1間の飛檐の間を設け、これらの後方に後堂を通す。内陣は来迎柱と須弥壇を用いる後門形式をとる。柱は来迎柱と脇仏壇前の4本を円柱とするほかは面取角柱を用いる。床高は余間を上段、内陣を上々段とする。虹梁は、落縁・広縁境の柱間、矢来内正面の柱間、外陣内梁行の柱間、脇仏壇・余間仏壇正面の柱間に渡され、落縁・広縁境の柱間、矢来内正面の柱間、外陣内梁行の柱間の虹梁上には透蟇股、余間仏壇正面の虹梁上に出組斗栱を詰組に載せる。外陣外廻りは正面中央の柱間3間に旧双折桟唐戸と障子を入れる。内陣および余間正面は柱上と束上に出組斗栱を載せ、内法上に高肉彫欄間を嵌め、柱間には内陣前に双折巻障子、余間前に千本障子を入れる。内陣および余間内部にも柱上に出組を配す。天井は、広縁を棹縁天井、外陣と矢来内と余間を格天井、内陣を折上小組天井とする。この堂を復原すると、背側三面の下屋がなくなり、内陣・余間は現在のような後門形式ではなく、来迎柱が半間手前、内陣背面の脇仏壇が1 間手前に移動して、余間仏壇と前端がそろう古風な通し仏壇の中央前に須弥壇を設けた形式であったと推察できる。

『新修豊田市史』関係箇所：22巻131ページ