陶土 

 

(とうど)

【民俗】〈諸職〉

猿投山麓の周辺には粘土層が広がり、良質の窯業用粘土(陶土)として古くから利用されてきた。この粘土には石英粒や炭化物が含まれ、前者をガイロメ(蛙目粘土)、後者をキブシ(木節粘土)といった。「蛙目」とは石英粒が濡れるとガイロ(蛙)の目のようにみえたことに由来する。木節粘土は耐火度が高いため、煉瓦や坩堝の原材料にも用いられた。昭和30年代の粘土採掘では坑道掘りが行われたが、立坑(竪坑)を掘ると地下水が湧き出し、その排水は危険を伴う大仕事であった。落盤事故もあったため、やがては露天掘りへと移行した。採掘された粘土は水簸によって泥漿にし、異物を取り除いて精製した。かつては桶を使っての重労働であったが、機械化が進んだ現在では泥漿を加圧濾過して「ケーキ」と呼ばれる粘土板を作るフィルタープレスが使われている。粘土板は脱水・乾燥した後、粉砕して粘土屋(粘土業者)へ卸され、陶土として販売された。〈諸職〉

『新修豊田市史』関係箇所:15巻205ページ、16巻199ページ

→ 蛙目粘土(ガエロメ粘土)木節粘土