動物形土製品

 

(どうぶつがたどせいひん)

【考古】

動物形土製品は動物を象った土製品で、信仰の対象などになった動物種の祭祀関連遺物と考えられている。縄文時代には東日本を中心に、イノシシ(ウリボウ)・イヌ・クマ・海獣などさまざまな種の土製品が作られた。東日本域では縄文時代早期以降に登場し、中期以降に増加したようであるが、市域を含めた西日本域では後期と晩期の事例が多い。市内では今朝平遺跡で1点出土しており、岡崎市真宮遺跡の事例と合わせて、県内の縄文時代遺跡では稀少な出土遺物となっている。背中に稜が立つような形状をしていて、イノシシを表現したものではないかと推定されている(写真:長さ5.7cm)。弥生時代の事例は全国的に少ないものの、市内では伊保遺跡と川原遺跡で各1点出土している。伊保遺跡の事例は吻部の表現が明瞭で、イノシシ科を象った可能性がある。川原遺跡の資料はイヌもしくは牝鹿(めじか)を象ったものと考えられる。


『新修豊田市史』関係箇所:1巻135・183ページ、18巻409ページ、14号156ページ

→ 伊保遺跡川原遺跡今朝平遺跡