トカゲ

 

(トカゲ)

【自然】

市内で一般に「トカゲ」と呼ばれる種にはトカゲ科トカゲ属のヒガシニホントカゲ(写真上)とカナヘビ科カナヘビ属のニホンカナヘビ(写真下)がある。体が太く、全身をなめらかな鱗に覆われて光沢があるヒガシニホントカゲに対して、ニホンカナヘビは体が細長く、体表面はざらざらしていて光沢がない。時折尾の青いトカゲをみることがあるが、これはヒガシニホントカゲの幼体である。ヒガシニホントカゲは伊豆半島を除く東日本全域に生息する種で、西日本のニホントカゲと区別され、国外ではロシア沿海州にも生息する。またニホンカナヘビは北海道、本州、四国、九州に生息する日本固有種である。いずれも平野部から山地まで市域全体に生息するが、暗い林内にはあまりみられず、日当たりの良い開けた空間を好み、庭先や路傍などの人為的な環境にもよく出現する。両者の動きを観察すると、もっぱら地面や石の上を走り回るヒガシニホントカゲに対し、ニホンカナヘビは草や枝に登ったりし、より立体的に動き回る。このことを反映してか、岩場や石垣、河原などの開けた環境を好むヒガシニホントカゲに対し、ニホンカナヘビは草地を好む傾向がある。市域の住宅地では、ヒガシニホントカゲの方をよくみかける印象があるが、山道を歩いているとヒガシニホントカゲばかり出てきたり、ニホンカナヘビばかり出てきたりということがしばしばある。両者それぞれの優位性を活かせる生息環境の変化が、交互にあらわれていると考えられる。


『新修豊田市史』関係箇所:23巻552ページ