徳合院大般若経

 

(とくごういんだいはんにゃきょう)

【典籍】

徳合院(東保見町)所蔵。永仁7(1299)年の刊記をもつ折本装の春日版大般若経。大般若経は正式名称を『大般若波羅蜜多経』といい、代表的な大乗経典の一つである。全600巻と経典のなかで最も大部なものであるが、日本では古代より各地の寺院や神社に所蔵されていた。大般若経は、国家安泰・除災・追善・朝敵降伏を目的として行われる大般若経会に用いられ、神前法楽を目的として開催されることもあった。春日版大般若経は中世に大規模な印刷が行われ流布したが、徳合院本は巻一百六十二と巻二百二十四を除く598巻が揃っている。本文の特徴は、仮名訓が付されていることであり、特に冒頭の「大唐三蔵聖教序」にはよみ仮名・送り仮名・返り点・声点が精密に付されている。巻第一奥書より本来は猿投社西宮に所蔵されていたことがわかる。本資料は、明治14(1881)年に徳合院に施入されているが、識語より現在の市域を中心とする近隣地域の人々の寄進によるものであったことがわかる。市指定文化財。


『新修豊田市史』関係箇所:特別号90・120ページ