(とくねんじ)
【古代・中世】
駒場町に所在する浄土真宗本願寺派寺院。所蔵する方便法身尊像(阿弥陀如来絵像)は、その裏書から永正7(1510)年、本願寺実如が碧海郡重原荘小浜道場に授けたものとわかり、徳念寺の前身となる小浜道場の開基本尊と推定される。勝鬘寺(三河三か寺の一)下浄教寺門徒であったが、本願寺の東西分派後、江戸時代に西本願寺直参となった。親鸞像、太子・七高僧像が西本願寺第14代寂如により授与された正徳3(1713)年が転派の画期とみられる。西本願寺歴代の影像がほぼすべて所蔵され、貴重である。親鸞絵伝・蓮如絵伝に加えて当麻曼荼羅・無量寿経変相図等もあることから江戸時代に開帳・絵解きなどが行われていた可能性がうかがえる。さらに、注目すべきは光明九字名号(室町時代)、真向きの親鸞像(江戸時代)を所蔵することである。とりわけ、光明九字名号は三河における初期真宗の信仰を示すものであり、貴重な遺存例である。
『新修豊田市史』関係箇所:21巻183ページ
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