土坑

 

(どこう)

【考古】

ある程度の大きさと深さを持つ地面に掘られた穴の総称で、用途が明確ではない遺構を指す。旧石器時代~近現代までの遺跡でみられる。用途については、死者を埋葬した墓や食料などを貯蔵した施設(貯蔵穴)、動物を捕らえるための陥おとし穴など、さまざまな目的で掘られたことが想定されている。墓の場合、特別な付帯施設などがなく穴の中にそのまま遺体を葬ったものは土坑墓、あるいは「はかあな」の意味をもつ「壙」の字を用いた土壙と表現される。土坑墓からは、人骨や副葬品が出土したり、土坑が人為的に埋め戻されたことを示す堆積土が確認される。縄文時代の貯蔵穴としての土坑の中には断面形が袋状を呈するものもあり、また内部に保存されていた堅果類などが出土することもある。陥し穴の場合は、土坑の底面に落下した動物を突き刺すための先の尖った杭が設置されていることもある(写真:下山地区孫石遺跡)。発掘調査で夥しい数が検出される土坑は形状や堆積土の状況などからその性格を判断することは難しい場合が多い。


『新修豊田市史』関係箇所:1巻87・102・122・125ページ

→ 中世墓貯蔵穴