独鈷石

 

(どっこいし)

【考古】

「とっこいし」ともいう。左右対称の両端が斧状あるいはつるはし状を呈し、中央に2条の隆帯あるいは幅広の凹部がある磨製石器。形が密教法具の一種である独鈷を思わせるところから独鈷石と呼ばれるようになった。縄文時代後期に出現し、晩期に盛行して弥生時代まで残存した。中央の凹部に柄をつけて使用された石斧のような機能をもつ実用品であったものが後に儀礼的・呪術的なものに変わっていったと推定されている。中央部の形状は、当初は隆起のないえぐれた凹部であったが、徐々に隆帯をもつものに変化し、それに対応して両端の反りも大きくなっていったとされる。市域では足助地区の吉田遺跡から後期後半~晩期前半を中心とする縄文土器とともに中央がえぐられた凹部だけの独鈷石が出土している(写真:長さ15.3cm)。


『新修豊田市史』関係箇所:1巻132ページ、18巻389ページ