巴川マス孵化場

 

(ともえがわマスふかじょう)

【近代】

愛知県は明治27(1894)年5月、幡豆郡一色村に水産試験場を設立し、養殖事業を開始した。大正15(1926)年にはワカサギの稚魚が足助町の巴川に放流された。農林省も昭和初年からサケ・マスの養殖、放流事業に力を入れ始めた。県でも東加茂郡賀茂村大字東大見に矢作川仮孵化場を設け、マスの孵化、稚魚の放流事業に乗り出し、昭和2(1927)年に最初の放流を行った。矢作川本流では東加茂郡旭村・西加茂郡藤岡村、巴川では東加茂郡足助町・賀茂村・下山村・盛岡村、段戸川では賀茂村などで、海マス・ビワマス・紅マス合わせて120万尾余りを放流した。翌3年足助町大字中之御所に巴川マス孵化場が設立され、また仮孵化場であった矢作川孵化場も賀茂村大字大多賀に本格的な施設を建設した。巴川孵化場で孵化されたマスの放流数は、3年度には250万尾に及んだ。

『新修豊田市史』関係箇所:4巻582ページ