(とよたしぶんかげいじゅつしんこうけいかく)
【現代】
平成13(2001)年に文化振興のための基本的な法律として「文化芸術振興基本法」が制定された。この法律は、①文化の中核をなす芸術、メディア芸術、伝統芸能、生活文化、国民娯楽、出版物、レコード、文化財などの文化芸術の振興に関する基本理念を定め、②国と地方公共団体の責務を明らかにするとともに、③文化芸術の振興に関する施策の総合的な推進を図るというものである。②の地方公共団体の責務とは、国との連携を図りつつ地域の特性に応じた施策を主体的に実施することである。豊田市は平成17年4月に7市町村が合併し都市部と中山間部が共存する広大な市域になった。合併したそれぞれの地域独自の歴史や多様な文化を継承し発展させるとともに市内全域の交流が求められた。また、豊田市は、日本各地はもとより世界各地からさまざまな文化的背景を持つ人々が移り住み、多文化共生社会を形成している。多くの市民が制作、発表、鑑賞、支援等さまざまな形で文化芸術活動に関わることにより、多様な価値観を認め合い、誇りがもてる地域社会の形成が目指され、平成20年に「豊田市文化芸術振興計画」が策定された。豊田市文化芸術振興計画では、「ふるさとの文化を継承し、新たな文化を創造して人が輝き、誇りがもてるまちづくりをめざします」を基本理念としている。基本目標は、Ⅰ個性が輝き、創造性あふれる人づくり、Ⅱ多様な活動主体がつながり、支える仕組みづくり、Ⅲ魅力ある文化都市としての基礎づくりを掲げ、それぞれに施策方針、主な取り組みを位置付けている。具体的には、基本目標Ⅰでは、「子どもの豊かな感性の育成」「文化芸術に親しむ鑑賞機会の充実」「文化芸術の創造を支える芸術家・専門家の支援」とある。この中で重点事業として挙げられている「子どものアート 体験プログラムの実施」では、内容としては、1さまざまな材料を使って、親子で美術系の工作(紙粘土絵付けや陶器作り等)ができるコーナーの常設、2講師を招聘して絵画・版画制作や映画製作等の文化芸術を体験できるワークショップとなっている。具体的には、「子どものアート 体験プログラム」では、平成21年度より、子どもが楽しめる体験講座を毎年継続して実施しており(計44プログラム)、参加者も年々増加し(893人)、継続事業となっている。文化芸術に親しむ鑑賞機会の充実では、コンサートホール、能楽堂、市民文化会館、美術館、民芸館の活用について提言され、鑑賞機会の提供、鑑賞人口の増加の具体策が盛り込まれ、各種の演奏会、展示会等の企画のほかに託児サービスやチケット管理システムの充実などの新規事業も盛り込まれている。豊田市文化芸術振興計画は、策定から5年後に改訂版が出されて見直しが図られた。さらに平成30年には、第2次豊田市文化芸術振興計画が策定された。「文化芸術を生かしたまちの魅力づくりの推進」が豊田市総合計画に位置付けられるとともに、少子高齢化やグローバル化などの急速な社会の変化の中で多くの市民が文化芸術に親しむことができるよう、第2次豊田市文化芸術振興計画に受け継がれている。
『新修豊田市史』関係箇所:5巻778ページ