トロミル

 

(トロミル)

【近代】

鉄製の円筒形の内側を花崗岩で石張りにした粉砕機。円筒は直径1m、長さ2m程度で、水車動力である。筒のなかにサバ石・玉石・水などを入れ、これらを水車で回転させることで、石粉を生成した。従来の石粉生産は、サバ土を水車動力のひき臼で粉砕していたため、トロミルは石粉の生産性を急激に上昇する技術革新であった。市域では小原・藤岡両村を中心として、第一次世界大戦期からその後にかけて普及した。すなわち小原村では、大正5(1916)年頃に名古屋からトロミルが伝わり、ほぼ5年間で70機に達した。また藤岡でも大正7~8年頃にトロミルでの石粉生産が開始され、同10~15年頃に最盛期を迎えた。昭和30年代後半から40年代にかけて、エネルギー価格の低下とともに電動機に完全に置き換わり、消滅した。現在でも市域には、トロミル水車の遺構が残されている。


『新修豊田市史』関係箇所:4巻554ページ

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