問屋

 

(とんや)

【近世】

生産者と消費者の間にあって、商品を買い集めて卸売をする業者。近世商品流通の中核に位置する。3種類の問屋があり、各種商品を取り扱う「諸物品問屋」、商品ごとに専業化した「専業問屋」、生産者に前貸しして問屋制家内工業を形成した「加工問屋」があった。市域の問屋には「諸物品問屋」と「専業問屋」がみられ、「諸物品問屋」には、在郷町や土場の荷継問屋などがあった。荷継問屋の主な収入は、荷物の保管料である庭銭で、そのほか、口銭・土場料・刎銭・水揚賃や運上金などを徴収した。岩倉村(松平地区)の荷継問屋礒谷家は平古土場にて諸荷物の積送りを行う「諸荷物問屋」で、九久平村役所旗本鈴木家の廻米や御用物の取り扱いの出入りを願い出ている。「専業問屋」には、挙母城下町の煙草問屋・木綿問屋や足助町の塩荷駄売問屋があった。また、巴川沿いの九久平村には割木を扱う問屋がおり、天保4(1833)~5年の割木騒動では、抗議の対象となっている。

『新修豊田市史』関係箇所:3巻192・430・533ページ