南海トラフ

 

(なんかいトラフ)

【自然】

静岡県沖合の駿河湾から九州南東沖にかけて連続する、水深4000m級の船底状の地形が南海トラフ(船状海盆)である。ここは北側の日本列島が載るユーラシアプレート(大陸プレート)の下に、南側のフィリピン海プレート(海洋プレート)が沈み込む収束境界(沈み込み帯)にあたり、GPS観測結果から年間数cm程度の速さで収束が起こっている。この境界部の地下では、収束によって蓄積する歪が数十年から数百年間隔で間欠的に開放され、巨大地震が発生すると考えられている。これら地震のうち最も近い過去に発生したものが、紀伊半島沖を境に西側で昭和21(1946)年に発生した南海地震と東側で発生した昭和19年東南海地震であり、2つの地震はわずか2年の時間差で起こっている。その前の地震は安政元(1854)年の安政東海地震、安政南海地震であり、東側が破壊した安政東海地震の後、わずか32時間をおいて西側が破壊した安政南海地震が発生した。さらにもう一つ前の地震は宝永4(1707)年宝永地震と考えられており、東西の区間が一括して活動し、巨大地震を引き起こしたと考えられている。このように南海トラフでは繰り返す地震ごとに、巨大地震の発生様式が異なることがわかっている。ところで昭和19年の東南海地震では、南海トラフ東端の駿河トラフ部分までは破壊しなかったため、この部分で地震を起こす可能性が1970年代から指摘されたのがいわゆる東海地震である。

『新修豊田市史』関係箇所:23巻2・3・659・662・666ページ

→ 安政東海地震昭和東南海地震