『西加茂郡誌』 

 

(にしかもぐんし)

【近代】

愛知県西加茂郡教育会が編さんし、大正15(1926)年6月に発行した西加茂郡全体の地誌(地理歴史書)である。大正12年3月郡制が廃止され、大正15年7月には西加茂郡役所も閉鎖された。最初に郡誌編さんが計画されたのは大正11年のことで、大正13年10月に第1回の編さん委員会を開催し、各委員が町村別に分担して資料の調査、収集を行った。翌年夏に初稿が完成した後、補充調査などを経て、大正15年4月に脱稿した。編さん委員には小栗鉄次郎(小学校長、歴史学者)、伊藤和三郎(小学校長)、塚本藤重(小学校長、のち高橋村長)の名前がある。本書は600頁を超える大著で、地誌、郡の沿革、町村の沿革、行政、教育、兵事、衛生、産業、交通運輸、社寺、史蹟名勝天然記念物、風俗、人物の13編から構成される。田中正幅が編さんした『三河国西加茂郡誌』を参考にしながら、古文書の調査、古老からの聞き取りなどによって完成にこぎ着けた。

→ 『三河国西加茂郡誌』