(にょいじだいはんにゃきょう)
【典籍】
安元3(1177)年から翌年にかけて書写された大般若経。如意寺(力石町)には巻子装の巻二百七十五と巻三百四十四の2巻が伝わる。大般若経は正式名称を『大般若波羅蜜多経』といい、代表的な大乗経典の一つである。全600巻と経典のなかで最も大部なものであるが、日本では古代より各地の寺院や神社に所蔵されていた。大般若経は、国家安泰・除災・追善・朝敵降伏を目的として行われる大般若経会に用いられ、神前法楽を目的として開催されることもあった。如意寺所蔵の大般若経の奥書から摂津国で研意智なる者の手によって書写されたことがわかり、豊川市菟足神社所蔵本の書写者と同じである。菟足神社本の特徴の一つに本文に欠筆を用いることがあり、如意寺本にも欠筆が散見され、書写時期や場所も一致することから、如意寺本は菟足神社本の一部であると思われる。市指定文化財。
『新修豊田市史』関係箇所:特別号88・120ページ