(ネコギギ)
【自然】
ギギ科、ネコギギ属。日本の固有種で、国の天然記念物。国は絶滅危惧ⅠB類、県は絶滅危惧ⅠA類。形態的、生態的に特徴が多いので地方名も多い。ギギンタ、ゲゲンタ、テキリ、ゲゲンチョ、ゲゲダンジョ、ドボキン、テッキリ、ゲンパ、サシンコ、ミコシャンコ等が市域だけでも20近くになる。鱗はなく、体表はヌルヌルで、ギーギーと鳴き、鰭の棘で刺し、釣り針を飲み込む等の特徴がある。長い髭(上下各2対)があり、形態はナマズに類似するが体長は大きい個体でも15cm前後と小型。体は暗褐色、腹部は淡黄色で、体色といい、形態といい一見不気味な感じがする魚種である。夜行性の肉食魚であるので、昼間は石や岩の下の暗い所にいるが、夜間になると石などから離れて小動物を貪欲に食べる。背鰭と胸鰭には基部の方を向いて並ぶ針のついた長い棘があるので、不用意に捕獲した個体を掴むと刺されることがある。同属のギギに類似するが、尾鰭が大きく二叉し、尾柄高が高いので簡単に区別できる。中流の石底、礫底に多産し、かつては矢作川でも濁水時には昼間でも簡単に釣ることができた。また、延縄でも多数捕獲することができた。最近になってアユに混入して琵琶湖から同科の大型のギギが移入してきて、増加の一途をたどっている。同じ食性であるので小型のネコギギは急激に減少している。最近の調査では阿摺ダムから上流ではまったく捕獲されていない。今後もこの傾向は続くと思われる。
『新修豊田市史』関係箇所:23巻504・514・517ページ