熱中症

 

(ねっちゅうしょう)

【自然】

熱中症とは、暑熱による健康障害の総称であり、気温や湿度が高くなる暑熱環境において体内の水分や塩分のバランスが崩れ、脳の視床下部が司る体内の調整機能が破綻する暑熱障害と定義されている(日本生気象学会)。熱中症の歴史は古く、明治時代から軍隊や炭鉱、鉱山、建設などの労働現場では、一般的に日射病、熱射病と呼ばれていた。熱中症は、平成11(1999)年までは熱痙攣(heat cramps)・熱失神(heat syncope)・熱疲労(heat exhaustion)・熱射病(heat stroke)・日射病(sun stroke)などの英語疾患名の日本語訳によって分類されていた。その後、臓器障害の有無と入院治療の必要性から、Ⅰ類(軽症)・Ⅱ類(中等症)・Ⅲ類(重症)の3分類にし直された。Ⅰ類は「熱痙攣」(筋肉痛・筋肉の硬直)と「熱失神」(立ちくらみ)が該当する。Ⅱ類は「熱疲労」(頭痛・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感)で、医療機関での速やかな受診が必要である。さらに、Ⅲ類は「熱射病」が該当し、意識障害・痙攣・手足の運動障害・内臓の機能障害などの症状がみられ、病院への迅速な搬送、入院・集中治療が求められる。盆地底部に位置する豊田市街地は、矢作川の沿う海風前線地域にあたるため、高温・高湿、および無風になりやすい地形的特徴を持っている。しかし、小学校低学年の児童は、日中の最高気温出現時に下校することが多く、猛暑日(日最高気温35℃以上)には下校時間を遅らせるか、保護者の同伴が必要である。

『新修豊田市史』関係箇所:23巻160・162ページ

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