念仏講  

 

(ねんぶつこう)

【民俗】〈信仰〉

念仏を唱える在家信者による講で、僧侶が介在する寺院の行事とは別にムラで行われていた。毎月決められた日に講宿に寄り合い、ムラの安全や五穀豊穣、除災を願ってみなで念仏を唱和するほか、集落内に死者が出た時には死者を弔うために念仏を唱える葬式組の役割を兼ねる講もあった。市域では毎月旧暦14日の十四日念仏が盛んに行われてきた。木瀬(藤岡地区)では東西のシマ(ムラ組)を単位とする、シマ念仏といわれる念仏講があった。旧暦14日になると講宿に「南無阿弥陀仏」の六字名号の掛軸をかけ、鉦を叩いて念仏を唱えた。伊熊(旭地区)では十四日念仏とは別に、夏の土用の時期に集落にある御堂を百万遍念仏を唱えて回る「土用念仏」があった。野見(高橋地区)にはムラごとに念仏講があり、西側にあたる植畑組の「野見西之切善光寺講」には阿弥陀如来の掛軸や大数珠、念仏の回数を数えるための数取りなどが伝えられている。〈信仰〉

『新修豊田市史』関係箇所:15巻814ページ、16巻761ページ