(のうライフそうせいセンター)
【現代】
豊田市が平成16(2004)年4月にあいち豊田農業協同組合と連携して、農協猿投営農センターの隣接地に開設した農業塾主体のセンターであり、団塊の世代の大量定年者を農業の新たな担い手として発掘・育成しようとする市独自の施策を担う組織である。その開設にあたり、豊田市は、平成16年1月に市民農園の開設を容易にし、他方で新規就農者の農地確保面積の規模要件を引き下げて新規参入を促すことで、遊休農地の解消を図るために、愛知県と共同で構造改革特別区域「農ライフ創生特区」の申請を行って認められた。同センターは、その中核として定年退職者等に農業技術等に関する研修を行って農業の新たな担い手として育て遊休農地の活用をはかり、他方で農業を高年齢者の生きがいづくりの場として利用することを狙っていた。そのため、センターには、家庭菜園等の趣味で野菜作りを楽しみたい人向けのほか、定年退職後の生きがいを農業に見つけ、収入を得る人向けの研修コースが開設時に設けられた。その後、平成18年4月には、猿投の本所以外に高岡と下山に新たに研修所が設けられ、豊田市の自然環境に合わせて平坦地から中山間地までの営農方式を学ぶことができるようになった。また、平成21年3月から、10a以上の農地所有者を対象とした研修コース(期間1年)も設けられた。センターの研修修了生は、あいち豊田農協の各作目の生産部会員になって部会の中心を担うようになったり、学校給食に生産した農産物を納めたり、トヨタ生協店舗で直売を行ったりして、地元消費者と生産者を結びつける「地産地食」にも一定の役割を果たすようになっている。なお、農ライフ創生センターは、当初、希望者に農地の斡旋も独自に行ったため、市内在住者以外も研修に参加して新規就農したり、当初の狙いの定年帰農以外の50歳代未満層の就農がみられたりした。
『新修豊田市史』関係箇所:5巻583・719ページ
→ 定年帰農