(ばいうぜんせん)
【自然】
東アジア特有の現象であり、夏季の渇水期に向けての貴重な水資源となる。梅雨前線が日本列島南部から北上してくるのは、南半球からの南東貿易風が赤道付近で向きを変え、南西風となってベンガル湾から吹き込み、大陸の揚子江気団との間に前線を形成するためである。また、季節進行に伴って北太平洋高気圧の勢力が増してくると高気圧の縁に沿う南東風が寒帯前線ジェット気流の蛇行に伴うオホーツク海高気圧から吹き出す北西風との間に前線帯が形成され、梅雨の後半にはこれらの前線が繋がって梅雨前線帯となる。しかし、西日本型の前線が安定しているのに対し、東日本型の前線は北太平洋高気圧の盛衰に左右されて南北振動が激しいため、寒暖の差が激しい特徴がある。中部日本は、西日本型と東日本型の接点にあたることから、西日本の集中豪雨型と東日本のシトシト型とが交互に現れることがある。日本列島の梅雨明けは、オホーツク海高気圧の勢力の衰退とともに梅雨前線が北上したことによるものである。したがって、梅雨前線は亜熱帯ジェット気流に相当するもので、梅雨前線の北上によって日本列島が亜熱帯大気圏内となり、夏を迎えるのである。
『新修豊田市史』関係箇所:23巻166・171・175ページ