ハザードマップ

 

(ハザードマップ)

【自然】

ハザードマップとは、一般的に「自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で、被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図」とされている。防災マップ、被害予測図、被害想定図などと呼ばれているものもある。すなわち、自然災害による被害を予測し、その被害範囲を地図化し、防災関係施設の位置などの防災地理情報が地図上に図示されている。ハザードマップの作成には、その地域の土地の成り立ちや災害の素因となる地形・地盤の特徴、過去の災害履歴、避難場所・避難経路などの防災地理情報が必要となる。日本では、活火山のハザードマップが、十勝岳の昭和63(1988)年噴火の際に使われたのが実際の噴火対応に使われた最初の事例となり、災害被害の軽減に大きな役割を果たしたことは、北海道のみならず日本の活火山のハザードマップ作成の契機ともなった。平成12(2000)年の有珠山噴火の際には、ハザードマップに従い住民・観光客や行政が避難した結果、人的被害が防がれたことでさらに注目された。一方、1990年代より防災面でのソフト対策として作成が進められているが、自然災害相手だけに発生地点や発生規模などの特定にまで及ばないものも多く、また予測を超える災害発生の際には必ずしも対応できない可能性もある。掲載情報の取捨選択、見やすさ、情報が硬直化する危険性などの問題も合わせて試行錯誤が続いている。平成30年7月豪雨(2018年)において、多くのため池の決壊等が発生したことから、その後の豪雨や台風等に備えて、全国のため池の緊急点検を実施し、必要に応じて応急措置を講じ、ため池の被災リスクの低減を図る取組を行われている。農業用ため池の管理および保全に関する法律(令和元年7月1日施行)により、ハザードマップの作成等の避難対策を実施されている。豊田市においても、50以上の池においてハザードマップが公開されている(令和4年8月現在)。ハザードマップは、自分の住んでいる地域や会社周辺で台風、大雨、地震といった災害が起こったときに、どこにどのような危険があるか、また、災害が起こった場合はどこに避難したら良いのかという情報を地図上にまとめたもので、「洪水」・「内水(氾濫)」・「ため池」・「高潮」・「津波」・「土砂災害」・「火山」・「地震(被害・地盤被害など)」の種別があり、市区町村役場や国土交通省のハザードマップポータルサイトなどで入手することが可能である。

『新修豊田市史』関係箇所:23巻268ページ