花火

 

(はなび)

【近世】

村の祭礼などで披露された演出。三河は近世以降花火が盛んな地域であり、現在も「三河花火」は有名である。近世で使用された花火の原料は黒色火薬であり、近代以降にみられる西洋の化学薬品を使用した西洋花火とは特徴が違う。西洋花火は色鮮やかで明るさも大きいため、夜に使用されるイメージが強いのに対して、近世の花火は火薬が爆発して飛び散る際の橙色の強弱と形だけで表現されるため、夜だけでなく昼も使用された。岩倉村平藪(松平地区)の宇野家は稲富流の免許をもつ花火師であり、近隣の村の要請を請けて花火を製造していた。また、村の祭礼などで花火の打上げなどの演出を主に担ったのは若者組であった。

『新修豊田市史』関係箇所:3巻644ページ