鞴の羽口 

 

(ふいごのはぐち)

【考古】

鞴は、青銅や鉄などの金属の製錬・精錬・鍛冶加工、ガラス製品の製造加工時に、炉内に空気を人爲的に送り込んで火力を高め、高温を長時間維持するための送風装置である。この高温となる炉に差し込む送風管の先端に装着された土製の羽口が「鞴の羽口」である。筒形を呈し一端に向かって細くなる鞴の羽口は、地面に痕跡を留めていない鞴・炉があったことを示す貴重な遺物で、市域では、保見地区江古山遺跡のSB25(7世紀末)、高橋地区寺部遺跡の12B区SB06(9世紀前葉)、足助地区宮ノ後遺跡の第8次調査B区(中世)・大貝津遺跡(時期不詳)、上郷地区三味線塚古墳の礫敷遺構(中世か)・神明遺跡のSD209(戦国期)などから出土している。いずれにも滓化した不純物の付着が認められ、鋳造・鍛冶加工に関わるものとみられる。

『新修豊田市史』関係箇所:20巻146・332・442・508・668・674ページ