(ぶせつじょうあと)
【考古】
市指定史跡「武節城址」は稲武地区武節町シロ山、田ノ洞ほかに所在する奥三河最大級の中世城館遺跡である。名倉川左岸の標高545mの丘陵上にあり、城郭の規模は東西約150m、南北約200mを測る。現在は直下に国道153号の城山トンネルが貫通している。東西約40m、南北約40mの規模をもつ主郭Ⅰの北東側の2m低い位置にⅡ郭、さらに北東側の約4m低い位置にⅢ郭が配置される構造で、Ⅲ郭から北西側の1m高い位置にはⅣ郭とⅤ郭が連なっている。主郭Ⅰの南西部には東西約30m、南北約13m、高さ約4mの櫓台状の土塁があり、現在は城山八幡神社が鎮座している。土塁の西面と南面にはそれぞれ堀切があり、主郭Ⅰと尾根を遮断していて、Ⅵ郭からⅩ郭が堀切沿いに並んでいる。浅野文庫所蔵『諸国古城之図』の中に「三河武節」図が収載されており、図の記載のすべては信用することができないものの、技巧的で防御性の高い城郭であったことがうかがわれる。城跡から16世紀中葉の瀬戸・美濃窯産陶器の鉄釉稜皿が採集されている。
『新修豊田市史』関係箇所:2巻563・574・587ページ、20巻598ページ