二つ玉低気圧

 

(ふたつだまていきあつ)

【自然】

二つ玉低気圧とは、日本列島に沿って2つの低気圧が同時に発生するもので、日本海低気圧と南岸低気圧に分類される。これらの低気圧は中緯度を流れる偏西風波動によって発現する温帯低気圧であり、高緯度側を流れる寒帯前線ジェットストリームが日本海低気圧、低緯度側の亜熱帯ジェットストリームの蛇行によるものが南岸低気圧である。これらの低気圧の通過に伴って、東海地方では日本海低気圧が寒冷前線による強い短時間(約6時間)降水であるのに対し、南岸低気圧では日本列島の太平洋岸に沿って北上するため、低気圧から張り出す温暖前線、および寒冷前線の影響によって一日中(24時間)降り続くことが多い。これらの温帯低気圧が同時に日本列島に接近・通過することは、日本海低気圧からの高緯度側寒気、南岸低気圧による低緯度側からの暖気が日本付近に接することになり、北日本の太平洋側で台風並みに発達することがある。また、近年は亜熱帯ジェット気流の北上化に伴い、南岸低気圧が日本海を通過する頻度が高くなってきた。日本海で発達した低気圧は南からの高湿な大気を吹き込み、特に、伊勢湾は間口が広く奥行きが狭くなる逆V字の地形をなしているため、三河山間部では集中豪雨による土砂災害の危険性が高まっている。

『新修豊田市史』関係箇所:23巻90ページ