(ブッポウソウ)
【自然】
ブッポウソウ目、ブッポウソウ科。夏鳥。国は絶滅危惧ⅠB類、県は絶滅危惧ⅠB類(繁殖)・絶滅危惧Ⅱ類(通過)。キジバトよりやや小さい。全身金属光沢のある青色や緑色で、くちばし、足は赤色、飛ぶと翼に水色を帯びた白斑が目立つ。その美しい羽衣から「森の宝石」と呼ばれる。「ゲッゲッゲッ」などと濁った声で鳴く。社寺林などでよくみられ、「仏・法・僧(ブッポウソウ)」の鳴き声の主と間違えられていたため、平安の昔から霊鳥とされてきた。昭和10(1935)年、鳳来寺山からこの鳴き声が全国に放送され、その音声に反応して飼育中のコノハズクが鳴き出した。また「仏法僧」と鳴く鳥を撃ち落としたところ、コノハズクであることが確認された。このことから、日本鳥学会が「仏法僧」と鳴くのはブッポウソウではなくコノハズクであると認定した。それ以来、ブッポウソウを「姿のブッポウソウ」、コノハズクを「声のブッポウソウ」と呼び、今でもこの話が語り継がれている。またこのことで、鳳来寺山がコノハズクの生息する山として有名になり、コノハズクが愛知県の県鳥に選定された。市域におけるブッポウソウの繁殖記録は極めて少ない。平成7(1995)年から10年に奥矢作湖のトラス構造の旭大橋で繁殖が確認されたが、その後、市域での繁殖の情報はなかった。藤岡地区で平成23年から同25年に観察され、同24年7月29日には幼鳥を含めて最大11羽、同25年7月19日には9羽が観察されていることから、近隣で繁殖したと思われる。藤岡地区の池でツバメのように水面を飛び回り、水飲みや水浴びする行動が観察されている。足助地区でも平成25年から繁殖が確認され、最近ではほかに2か所で繁殖が確認されている。
『新修豊田市史』関係箇所:23巻565・567・582ページ