布団  

 

(ふとん)

【民俗】〈衣生活〉

敷布団1枚に掛布団2枚をヒトナガレ、ヒトカサネ、ヒトマエなどと呼んだ。布団は嫁入りの時に長持や縦長持に入れて持参した。昔は布団を家で作っていた。普段用の布団は銘仙や木綿、お客さん用の布団は緞子や八端を使った。布団をうち織りの木綿で作った話者もあった。また、年1回は布団をほどいて、フトンガワは洗濯し、綿は干して手入れした。布団に綿を入れる際には、養蚕の時に出るクズ繭から真綿を引いて利用した。繭を煮て蛹を取り出した後、30cm四方に広げて乾燥する。さらにこれを2人で引っ張って延ばし、布団の外側に敷き、内側には綿の中綿を入れた。真綿を入れると綿がずれず、作業が楽で暖かく、10年はもったという。こうして家族全員の布団を作り替えるのが冬の仕事だった。上等な布団は布団屋に打ち直ししてもらった。山間部では、昭和初期くらいまで、藁布団を用いた。寝室にゴザを敷いて藁布団を敷き、その上に布団を敷いて寝た。〈衣生活〉

『新修豊田市史』関係箇所:15巻274ページ、16巻266ページ