(へいけひかん)
【典籍】
高野山に入定し開創に至る弘法大師空海の伝記を、白河院に参詣を勧める大江匡房の語りという形で、中世高野山の縁起を説く仮名物語として高野山周辺で成立流布した唱導書。その冒頭に、高野山に参詣した参詣した平清盛の悪人成仏を説くことから、真言宗根来寺(和歌山県)で鎌倉時代末から室町時代初にかけて写し伝えられた延慶本『平家物語』に全文が収められ、軍記物語の世界と連なることが注目される。猿投神社本(仮綴1冊)は、社僧澄誉が応永20(1413)年に写した、単独の伝本としては最古の写本であり、真言密教が霊場高野山縁起と大師伝の融合を通して地方へ流布する実態を示す文献として貴重である。県指定文化財。
『新修豊田市史』関係箇所:特別号58・108ページ
→ 猿投神社の国書