(へいしょうじかんのんぼさつざぞう)
【美術・工芸】
像高 170.0cm、檜材割矧造、内刳、彫眼、素地(現状)。本像は平勝寺(綾渡町)境内の観音堂に安置されていたが、現在は昭和41(1966)年に建てられた収蔵庫内に二天立像とともに安置されており、17年ごとに開帳が行われる秘仏である。昭和13年に美術院で修理が行われている。本像は、垂髻を結い、天冠台をあらわし、条帛と天衣、裙と腰布を着け、左手に蓮華を執り、右手は親指と中指を合わせて、他の指を緩く開き、蓮の花を開く仕草をして、蓮華座上に結跏趺坐する姿であらわされており、通形の密教系の聖観音菩薩像である。像内胸腹部に墨書銘があり、平治元(1159)年に制作された尊像であることがわかり、造像目的は記されないものの、発願主とみられる沙弥妙蓮をはじめ、若尾氏、桑名氏、大中臣氏、清原氏、賀々弥氏、弥野氏、藤原氏、揚氏、秦氏、長坂部氏、物部氏、穂積氏、源氏、大家氏、平氏という15の氏族の関わりがみられることが指摘されている。国指定文化財。
『新修豊田市史』関係箇所:21巻98・138ページ
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