ヘボ

 

(ヘボ)

【民俗】〈食生活〉

ヘボはクロスズメバチの幼虫で、食用とされた。稲武地区ではハイスガリと呼ばれる。市域山間部や猿投・保見地区などでは、夏から秋に盛んにヘボ取りをした。カエルの肉に綿をつけたものを餌とし、巣に持ち帰るハチを追いかけ、地中の巣を見つけると、セルロイドを燃やして煙で親バチを麻痺させて掘り出した。ヘボ取りは男性の遊びであり、ヘボを巣から抜いて料理するのは女性の仕事だった。佃煮や炊き込みご飯(ヘボ飯)にしたり、五平餅のタレに入れたり、箱寿司(押し寿司)の具にした。サナギや親バチも食べた。葛沢(足助地区)では、親バチは別に鍋で炒っておき、後からヘボと一緒に煮付け、ヘボ飯を炊く時に一緒に炊き込んだ。ヘボ取りはヂバチ取りともいい、ヂバチにはイモバチ(オオスズメバチ)やアカバチ(キイロスズメバチ)なども含まれる。イモバチやアカバチは大きいので、一度茹でて内臓を出して使う必要があった(大野瀬・稲武地区)。〈食生活〉

『新修豊田市史』関係箇所:15巻364ページ、16巻364ページ