扁額

 

(へんがく)

【美術・工芸】

扁額とは、神社の鳥居や寺院の門に掲げられる額。多くは社寺の建物の名が記されている。扁額には、古来の名言や能書家の揮毫を額装した横額などを指す場合もあるが、ここでは神号、寺号を表すものに限った。神社に掲げられた額を「神額」、寺院に掲げられたものを「寺額」ともいう。書かれた文字は掲げられた寺院や神社の名前のほか、祀られているご本尊やご神体を示すような文言であることもあり、寺社の歴史を示すものとしてだけではなく、中には、その文字を揮毫した時期や、その人物の文字としての歴史的価値を評価される扁額も多い。文字は墨書されたものもあるが、多くは長期にわたって掲げられることを前提に、墨書を元に木製の板に彫り出されたものもみられる。豊田市内でみられる扁額としては、いずれも愛知県の文化財に指定されている、猿投神社(猿投町)正一位猿投大明神扁額 (嘉元2〈1304〉年)、平勝寺(綾渡町)扁額(元徳2〈1330〉年)の2面が知られている。いずれも鎌倉時代の扁額であるが、猿投神社の扁額は墨書によるものであり、平勝寺のものは寺銘3文字が布袋彫りの手法で彫り出されている。

『新修豊田市史』関係箇所:21巻409ページ

→ 猿投神社正一位猿投大明神扁額平勝寺扁額