便所

 

(べんじょ)

【民俗】〈住生活〉

便所はヘッチン、セッチンといった。独立した建物ないしは小屋の一角につくられた。以前は扉がなく、コモが吊るしてあった(コモツルシ)。大便所は板床で四角い穴を開け、金隠しがついていた。新聞紙か雑誌を切り取って箱に入れ、落とし紙にした。大小便所とも床下には直径1m、深さ1.5mほどの甕が埋めてあった。大便は溜まると汲み取り、便所のそばや母屋の裏にあるドガメ(ナラシガメ、ネカセガメとも)に運んだ。ドガメは2~6つほどあり、順番に寝かせることで下肥になった。小便は小便桶に汲み取り、ドガメに入れるか直接畑に持って行き野菜にかけた。小便所は家屋入口の外側にもあった。そこには杉製の桶が埋めてあった。多くはないが、母屋に客用便所を設ける家もあった。便所には多くの俗信がある。「便所が完成すると最初に当主が入ってうどんを食べる。そうすると縁起が良い」(綾渡・足助地区)、「便所へ落ちた飯を拾って食べると長者になる」(大野瀬・稲武地区)。〈住生活〉


『新修豊田市史』関係箇所:15巻425ページ、16巻412ページ