(ぼうかんぎ)
【民俗】〈衣生活〉
寒い時期の仕事の際には、作業のじゃまになる袖をつけず、袖無しに仕立てた防寒着を着た。これをソデナシ、デンチコや、デンチ、ハンコ、チャンチャンコとも呼んだ。縞木綿や絣、更紗を用いて袷や綿入れに仕立て、気温によって使い分けた。前身ごろに一幅、後ろ身ごろに一幅の布を使い、脇にはマチと呼ぶ半幅の布をつけ、腕を動かしやすくした。マチは肩山から一尺(30.3cm)くらい下がった位置から縫い付けた。おくみはつけず、衿には黒繻子で掛け衿をつけた。ハンテンは衣服の上に着る長袖の上着で、丈は腰または膝までと短く、おくみはつけない。単衣や袷に仕立てるほか、冬には防寒用に綿入れにした。縞木綿、絣、更紗などで作り、女性用には黒繻子の掛け衿をつけた。袖は筒袖が多い。主に日常着として用いるが、農作業や山仕事で着用することもあった。山仕事では綿入れのノノコバンテン(旭地区)、コシキリハンテン(稲武地区)を着用した。〈衣生活〉
『新修豊田市史』関係箇所:15巻222ページ、16巻227ページ