(ポンツク)
【民俗】〈諸職〉
市域平野部では川や池沼での魚取りをポンツクもしくはポンといい、魚取りをする人をポンスケといった。専業的な川漁師もポンスケといったが、これが転じて趣味(道楽)が高じて魚取りに興じる人を指す言葉としてよく使われた。ここから道楽を指す言葉として「イモ(自然薯掘り)・ハチ(ヘボ取り、ヘボとはクロスズメバチ)・ポン(魚取り)」とか、「アユ(アユ釣り)・ハチ(ヘボ取り)・ポン(ここでは鉄砲を意味し、狩猟を指す)」という言葉も伝えられている。魚の捕まえ方は釣りだけではなく、投網や、ウゲ(筌)を伏せて罠に使ったものがあった。ウゲは竹を大きく円錐形に編んだもので、罠にするものは底部の内側にさらに小さい円錐を取り付けてカエシとし、餌に惹かれた魚がカエシを抜けて中に入ると出られない仕組みになっていた。ウゲの円錐の頂部がタガ(箍)で結ばれており、これをほどいて魚を取り出した。ウゲは籠屋や竹屋が作ったという。〈諸職〉
『新修豊田市史』関係箇所:16巻217ページ