『摩訶止観釈義』

 

(まかしかんしゃくぎ)

【典籍】

猿投神社所蔵。もと巻子本の『本朝文粋』(鎌倉時代写)の巻六と巻十三を上下に裁断し、一帖に綴じて裏面に隋の智顗ちぎ天台大師の主著『摩訶止観』(「止観」つまり禅定の境地へ到る方法と心得を説く)の注釈を写したもの。天台宗の祖師の聖典について、おそらく比叡山か諸国の天台寺院において行われた談義(講説)の聞書として記された。猿投社に伝わることで、神宮寺の社僧の間で天台を学ぶ僧もいたことが知られ、滝山寺(岡崎市)や密蔵院(春日井市)など三河・尾張の天台寺院との交流も想像される。さらにその書写の背後に、『本朝文粋』を写す外典の学習が日常的に行われたことも察せられる。国指定文化財。

『新修豊田市史』関係箇所:特別号57・108ページ

→ 猿投神社の国書