磨き砂  

 

(みがきすな)

【民俗】〈諸職〉

凝灰岩質の砂を細かい粉にしたもので、昭和30年代までは洗剤や研磨剤、精米用として広く一般家庭で用いられた。市域の磨き砂は火山灰が堆積した地層より採取している。その層は宮口上など挙母地区西部に及んでおり、磨き砂を産出するスナヤマでは坑道掘り採掘し、俵に詰めて出荷した。挙母地区西部の磨き砂は細かくて比重も軽く洗い流しやすかったため、洗剤としての需要があった。大正時代から昭和初期にかけては、当時の西加茂郡挙母町の特産品として「挙母砂」の名前で出荷され、磨き砂の鉱山は当時の尋常小学校の社会見学先になるほどであったという。磨き砂の等級は、色合いが白色から灰色が強まるにつれて白砂、並白、並砂の順に分かれた。白砂は並砂の倍の価格であった。白砂は家庭用、並白や並砂は業務用に用いられた。〈諸職〉

『新修豊田市史』関係箇所:16巻181ページ