『三河挙母七州城沿革小史』

 

(みかわころもしちしゅうじょうえんかくしょうし)

【近代】

渡辺善次(香桜居士)が編集した挙母の歴史、行政の沿革、人物、事件、文化など種々の事柄を記述した書物で、正編・続編2冊からなる。近世から明治時代を対象にした挙母事典ともいうべき性格の書物である。挙母藩士の家に生まれた渡辺は、明治20年代以降大正期に至るまで挙母村会議員や村役場吏員を務めており、この行政体験を背景に編集された特異な書物である。正編は大正12(1923)年、続編は同14年に刊行され、昭和60(1985)年愛知県郷土資料刊行会から合冊して復刊された。正編では挙母藩の幕末維新の事績や新たな行政組織などに力点が置かれ、続編では挙母藩内藤家の事績や挙母藩の人物、挙母藩や挙母町の歴史と現状、挙母藩の維新史などに多くの紙面を割いている。さまざまな事柄が扱われ、貴重な史料や証言も多く叙述されているが、根拠が明らかではない叙述も多く、充分な再検討が必要な事項もある。


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