(みかわのしろあしぎぬ)
【古代・中世】
三河国で織られた上品質の白絹のこと。平安時代以降、三河特産のブランドとして犬頭糸が有名であったように、それから織られる絹は上質であった。天平宝字2(758)年の正倉院文書に「参河白絁」がみえるのが初見で、羅という高級絹織物に匹敵する値段であったことからわかるように、奈良時代から三河国の白絁は有名であった。平安時代に入ると、『延喜式』(巻二四)の規定に犬頭糸 2000 絇と白絁を朝廷に納めることになっており、内蔵寮にも白絁 100 疋が納められることになっていた。交易雑物にも白絹 120 疋、斎宮にも白絹 30 疋送られることになっており、宮中でも重宝された。そのため、平安時代の国衙や、その一部を取り込んだ碧海荘にも賦課され納められた。また、平安時代には三河国司から(白)絹が貴族達に盛んに贈られていたことが、貴族の日記などからわかる。
『新修豊田市史』関係箇所:2巻151ページ
→ 犬頭糸