(ミシシッピアカミミガメ)
【自然】
ヌマガメ科アカミミガメ属のカメ。北米原産の外来種で、「ミドリガメ」の愛称で輸入、販売されたが、成長するとかなり大型になり、飼いきれなくなった個体の放逐により、日本全国に定着した。市域でも平野部の溜池や河川には必ずといっていいほど生息している。丘陵地、山地への侵入はまだ限定的で、市東部の稲武、足助、下山では正式な記録が得られていないが、人為的な持ち込みにより容易に分布を拡大する可能性がある。幼体の頃は黄色の線模様を配した明るい緑色の背甲を持つが、成長すると全身の地色が暗緑色となる。成体、幼体とも側頭部に赤色の模様を持つのが特徴的。ただし、老熟個体では甲全体が黄褐色を帯び、甲板の周縁部に黒色を呈する黒化現象が生じることがあり、そうした個体では側頭部の赤色も消失する。雑食性で水辺の生物を貪食し、在来生態系に甚大な影響を与えているほか、同様の資源を利用している他の在来生物、特にニホンイシガメを圧迫している。成体は大型で、頑丈な甲で守られているため天敵は少なく、寿命も長いため、ひとつの個体が長期間にわたり環境に影響を与え続ける。かごわなで捕獲できるため、市域を含め、各地で駆除活動が行われているが、いったん密度を減らしても、駆除をやめると他地域からの流入や繁殖によって回復してしまい、事実上根絶は不可能である。外来生物法に基づく要注意外来生物。日本、世界の侵略的外来種ワースト100。愛知県では自然環境の保全および緑化の推進に関する条例に基づく条例公表種として、野外への放逐が規制されている。
『新修豊田市史』関係箇所:23巻559ページ