(みよしめん)
【自然】
三河地方に分布する段丘面のうち、最も高い段丘面。名鉄三好ヶ丘駅付近(標高約110m)から、境川と逢妻女川(あいづまめがわ)との間を、明知(みょうち)町付近(約40m)まで南西に延びている。全体として丘陵状の形態を呈するが、尾根にあたる部分には平らな面(段丘面)が残っており、遠望すると高さが揃い(定高性がある)南西に向かって緩やかに低くなっている(現在は高い建物などのために必ずしも明瞭ではない)。地図上に三好面のみを書き出してみると、細長くうねうねと続いており、段丘面が侵食されて細々と残っている感じがある。三好面をつくる地層は三好層という。厚さは6~20mで、北部ほど厚い。主にチャートの中~大礫(径0.5~25cmほど)からなる砂礫層である。礫の大きさは南に向かって小さくなるので、かつてこのあたりを北から南に流れていた河原の礫であることがうかがえる。風化によって、礫は白く脱色し(“漂白”)、礫の間を埋める砂・泥(基質)は赤褐色を帯び、遠望すると全体として赤褐色にみえる(赤色風化)。風化して脆くなったり軟らかくなったりしたクサリ礫も含まれる。三好層の時代は明確でないが、数十万年前(新生代第四紀更新世の中期)と推定される。三好面より一段低い段丘面は、南東側に広がる挙母面である。いっぽう、三好面より高い地形面もある。それは段丘面ではなく瀬戸層群矢田川累層がつくる丘陵の背面で、藤岡面と呼ばれている。上述のチャートとは、珪質(SiO2)の殻をもつ放散虫などの遺骸が海底に降り積もってできた堆積岩。
『新修豊田市史』関係箇所:23巻7・50ページ