(みんぞくのへんか)
【民俗】〈環境〉
民俗は家やムラ(村落)、マチ(町場)に伝承され、慣習として息づいてきた生活文化であるが、自然災害や社会の激変によって変化を余儀なくされてきた。明治時代には内務省令による町村合併や神社合祀があり、村落自治や統合の精神的よりどころが揺らぎ、大正から昭和初期にかけてと昭和20年代に盛んとなった生活改善運動でも、衣食住などの日常生活の改変が進んだ。とりわけ民俗の変化が顕著であったのは、昭和34(1959)年以降、トヨタ自動車とその関連工場が市域の碧海台地と周辺の丘陵地に相次いで進出してからである。農村部では次三男ばかりでなく長男や家長までも会社勤めをする家が増え、現金収入は拡大し、農機具の機械化が農業の人手不足をカバーした。ムラ人の多くが外勤者になると、今まで曜日に関係なく行われていた伝統的な行事ができなくなり、ムラの共同作業や集会、氏神の祭りや檀那寺の法要も主として日曜日に行われるようになった。〈環境〉
『新修豊田市史』関係箇所:17巻5・11ページ