木簡

 

(もっかん)

【考古】

木製の板に文字が墨書されたもので、多くは短冊形をしている。用途から文書や荷札・呪符などに分類される。主に、沖積低地などの地中の水分が十分に保たれている環境の遺跡に遺存している。市域では猿投地区亀首遺跡の中世の流路跡から「□門田四段」と墨書された木札、高橋地区古城遺跡の中世井戸から「急々如律令」と書かれた呪符木簡(写真:タテ10.8cm)が出土している。一方、古代の藤原京跡や平城宮・京跡では、各地から貢納された産物に付けられた荷札木簡が多量に出土しており、その中には三河地域の地名や人名などが記されたものもある。それによって7世紀末に鴨評万枯里が存在したことや、賀茂郡高橋郷に物部千万呂という名の人物がいたことを知ることができ、地域史にとって貴重な歴史史料となっている。


『新修豊田市史』関係箇所:2巻27ページ、6巻375ページ

→ 亀首遺跡古城遺跡