(やくししんこう)
【民俗】〈信仰〉
薬師如来は人々を病から救うとされ、8日(八日薬師)と12日(十二薬師)が縁日とされている。藤沢(石野地区)には薬師堂があり、8体の薬師如来像が祀られていた。筏師の守り仏といわれ、11月8日に祭りをしていた。市域の薬師如来の祭りでは、お勤めの後に甘酒が振舞われることが多く「甘酒祭り」とも称されていた。葛沢(足助地区)には、田植えが終わったノウヤスミ明けから旧暦7月24日まで「お薬師さんの四十八夜」の祭りがあって、葛沢の全戸から2戸ずつが交代で一昼夜薬師堂に泊まり込んでオコモリをし、初夜・中日・最終日には大きな祭りをした。挙母町にある挙母神社は、大和吉野の水分神社の子守明神の分霊を勧請したもので、明治以前は子守大明神として崇められた。「おこもりさん」と親しまれ、子どもの健やかな成長を願う人々が参集した。かつては境内に子守薬師(輝雲山瑞光院)があり、八日薬師の市で賑わった。〈信仰〉
『新修豊田市史』関係箇所:15巻823ページ、16巻769ページ