ヤナ(簗)

 

(ヤナ(やな))

【民俗】〈諸職〉

川に堰を作り、川魚、特にアユを導き入れて捕獲するための漁撈設備。竹や丸太、河原石で築き、市域山間部では西広瀬(猿投地区、写真)をはじめとする矢作川流域や足助地区を中心とする巴川流域に分布する。西広瀬の場合は組合経営であり、捕まえたアユは名古屋の川魚問屋(たき茂)に卸していた。伊勢湾台風の被害や矢作川の汚濁もあって昭和30年代後半から川魚料理を出す食堂を併設した観光施設へ変化した。ヤナを築くことをヤナガケ(簗掛け)、作業時に川の流れをせき止めることをミオドメ(澪止め)といった。竹は虫がつかない冬に伐り、ヤナの表面となるタナス(棚簀)や河原石を詰めてヤナの土台とするジャカゴ(蛇籠)などを作った。ヤナの構築に当たっては、最初に川底にジャカゴを置き、梁となる丸太(ドウギ)を渡した。ここにドウギより細いヤグイという丸太やナラシダケ、カキダケという丸竹を交互に直行させて積み、その上にタナスを敷いて完成させた。〈諸職〉


『新修豊田市史』関係箇所:15巻213ページ

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