(やねふき)
【民俗】〈住生活〉
カヤ屋根は15年から30年で葺き替え、屋根の一部が傷んだときは新しいカヤでサシブキやモリサシをした。葺き替える場合、一般的にマルブキ(総葺き)はせず、最初にウラ面、数年後にオモテ面、ツマというように分けて行った。葺き替え作業では、まず竹で足場を組み、古いカヤを取り外した。傷みが少ないカヤは再利用し、腐ったカヤは肥料にされた。カヤは2尺ほどの厚みで下から上へ葺いていった。注意を要したのはノキヅケ(軒先を葺く)と棟押さえである。軒は稲藁、ムギカラ、カヤを重ねて勾配を緩くし、カヤのずれを防いだ。軒先の隅を少しはね上がらせたものをゴエモンブキといい、まっすぐなものはシンメイブキといった。棟には軟らかくなった古いカヤを置き、稲藁をかぶせた。棟の両端と、棟に平行にマキワラ(カヤと小麦カラを混ぜて縄でからげたもの)を置いた。最後に竹で押さえて針金で縛り、仕上げにヒノキの皮やオドリ(千木)を乗せた。〈住生活〉
『新修豊田市史』関係箇所:15巻444ページ、16巻424ページ