(やはぎがわのてんじょうがわか)
【自然】
川底が周囲の地表面よりも高くなっている川を天井川という。堤防などによって川筋が固定されると、上流から流されて来た土砂の堆積で、川底が上昇し、周辺の地表面よりも高くなる。矢作川でも、上郷地区水入遺跡(現在の豊田東IC)で、天井川化が起こっていた。ここでは、地表面下約3mに、籠川面に相当する旧地表面(標高約23m)があり、江戸時代より前の遺構・遺物が確認されている。このレベルから地表までの約3mは、江戸時代以降の洪水によって堆積したマサ土からなる天井川の堆積物である。このような多量のマサ土の供給は、江戸時代以降、三河山地での森林伐採に伴うはげ山化によって、著しい侵食が発生した結果である。なお水入遺跡は、鵜の首の狭窄部の出口に当たり、「水入」という通称からも、洪水が頻繁に起こっていたことがうかがえる。
『新修豊田市史』関係箇所:23巻64ページ