郵便局      

 

(ゆうびんきょく)

【近代】

日本における通信・金融制度の普及に大きな役割を果たしたのが郵便局である。以下、市域での普及時期順に、郵便・為替・貯金・電信・電話の各事業について論じる。明治4(1871)年3月1日の新式郵便業務開始時点では市域への配達は岡崎郵便取扱所を通じて行われていたが、同年3月に挙母郵便取扱所、4月に知立郵便取扱所、明治5年9月に足助郵便取扱所が設置された。その後、明治7年に郵便役所に、同8年に郵便局へと順次改称される。為替は、明治8年1月に全国主要都市110局で内国為替が開始されたのち、明治9年11月に挙母・足助両局で、明治18年1月に九久平郵便局でも開始された。郵便貯金は明治8年5月に窓口が開設され、明治11年9 月に挙母局で、10月に足助局で貯金事務が開始された。明治21年三等郵便局での電信請負制度が、明治36年に東京・大阪以外の電話交換業務が郵便局・電信局で行われるようになると、これらも次第に普及していく。市域での電信事務は、明治30年に挙母・足助両局で開始された。明治34年に稲橋郵便局で、同42年に小渡郵便局でも開始され、明治末期には山間部でも電信利用の可能な地域が存在したことがわかる。電話では、挙母局が明治43年に通話・交換事務を、足助局も明治43年に通話事務、大正2(1913)年に交換事務を開始した。だが、挙母・足助両町以外での電話開通が進むのは、両大戦間期のことであった。

『新修豊田市史』関係箇所:4巻142・564ページ