ヨアソビ 

 

(ヨアソビ)

【民俗】〈人の一生〉

ヨアソビは一種のグループ交際の慣行で、夜、若者たちが数人で娘の家を訪れて世間話に興じ、恋愛関係が芽生えれば結婚に至るというものであった。自分のムラの娘のもとを訪れるのは遠慮していたといい、花園(高岡地区)では駒場、吉原、中根(いずれも高岡地区)、知立、八橋、牛田(いずれも知立市)、里(安城市)などのセケン(よそのムラ)からヨアソビに来ていた。若者は自転車に乗って3~5人で来て、出されたお茶を飲んで話をし、一晩に3軒くらいは回っていた。高岡・上郷地区など、市域南部では娘の夜なべ仕事としてイタコ絞りの内職が盛んで、単調さを紛らわすため、娘が何人かで集まってお喋りをしながら括りの仕事をしていることが多く、若者たちの訪問を受ける恰好の場所になっていた。八橋では夜11時頃まで3、4人の同じ年頃の娘たちが一軒に集まって夜なべをしていたといい、これらの地区では昭和20年代までヨアソビの慣行が残されていた。〈人の一生〉

『新修豊田市史』関係箇所:15巻566ページ、16巻516ページ