来迎寺(三重県松阪市)梵鐘

 

(らいごうじぼんしょう)

【美術・工芸】

総高96.0cm、口径55.1cm、銅鋳造、永禄11(1568)年銘。三重県指定文化財。本鐘は、現在では三重県松阪市飯南町にある浄土宗の孤雲山来迎寺の鐘楼に架かるが、明治の廃仏毀釈以前には足助八幡宮(足助町)の梵鐘であったことが知られている。『三河志』には「足助八幡鐘」とあり、『三河国名所図絵』には「足助入口宮平八幡社鐘名」と銘文が記されている。足助八幡宮鐘となる以前には越前国東南西郡千僧供庄の八王子殿山王大権現(現在の福井県越前市横市町の日吉神社)の梵鐘であり、「鞍谷長屋村」(現越前市五分市町)の鋳物師「藤原朝臣三郎兵衛尉」によって永禄11年に鋳造されたことが知られる。足助八幡宮に移されたのは、池の間の第4区にある第1次追銘と足助八幡宮の史料に、天正年間頃にさかのぼることが記されている。その後は長く足助八幡宮にあったが、明治期の廃仏毀釈で伊勢の桑名に流出していたものを、明治12(1879)年に来迎寺の住職が購入して現在に至るのである。

『新修豊田市史』関係箇所:21巻422ページ

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