龍湫周沢  1308~1388

 

(りゅうしゅうしゅうたく)

【美術・工芸】

仏画を得意とした南北朝時代の臨済宗の僧。妙沢とも自称した。延慶元(1308)年甲斐国に生まれる。正和2(1313)年より夢窓疎石に師事し、師の没後は夢窓派の中核を担い、建仁寺・南禅寺・天竜寺・臨川寺の住持を歴任し、嘉慶2(1388)年嵯峨の寿寧院で没した。没後、弟子によって詩文集『随得集』が編さんされた。仏画としては不動明王を得意とし、20年以上にわたり日課として不動明王を描いたといわれる。龍湫周沢筆の不動明王像は各地に伝存し、至徳3(1386)年の作例が東京国立博物館に、康暦元(1379)年の作例が常盤山文庫に、それぞれ所蔵される。こうした龍湫周沢筆の図像に倣った不動明王像は「妙沢様」と称され、もてはやされた。市域では長興寺(長興寺)に、妙沢様の不動明王像がある。

『新修豊田市史』関係箇所:21巻234ページ

→ 長興寺不動明王像